「星の遺産」

ここでは、「「星の遺産」」 に関する記事を紹介しています。
先月28日は私達姉妹の母の祥月しょうつき命日
だから“人生七掛ななが(寿命が短かった過去に比べて、肉体・精神ともに七割のスピードで実数年齢が進行していること)”時代の、人生の第一線と言われる場所を退いた熟年世代のを扱った「黄昏流星群 星の遺産」をテーマに選んだ…という訳ではありませんが、いいタイミングだとは思います

黄昏流星群 星の遺産黄昏流星群 星の遺産
弘兼 憲史

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かつて流行作家だった80歳過ぎの男性が、寂しい晩年の一人暮らしの果てに死亡
生涯自由奔放な「火宅かたくの人」を貫いた彼の遺産は、妻に先立たれた後残された息子4人が「4通のを、開封しないまま選ぶように。一つだけ厄介な遺言書があるが、中を見るのが嫌なら開封しないまま焼却処分してしまうこと」という作家らしいミステリー仕掛けの遺言書に従って、無条件のくじ引き式に受け継ぐことに

檀一雄全集〈第6巻〉火宅の人 (1977年)檀一雄全集〈第6巻〉火宅の人 (1977年)
檀 一雄

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壇ふみさんのお父さんで、作家の故・檀 一雄さんの自叙伝的小説です

一流企業の重役の長男には、多数の株券
配当金が息子の医大入学金になると喜びます
ヤメ検弁護士(検事を辞めて弁護士に転職すること。会社員でいう“脱サラ”)の次男には、一番売れっ子だった時期愛人を連れ込むために買ったという西麻布のワンルーム
は横浜にあるものの、東京で仕事をすることが多いのでオフィスにしようと考えます
大学病院に外科医として勤務している末っ子には、父が死ぬ直前まで住んでいた一軒家
さっそく将来大学病院を辞めて開業する時のに改築しようと計画し始めます

を引き当てて行く兄弟達の中、主人公である小さなデザイン会社勤務のグラフィックデザイナーの三男は“一つだけ残った、厄介かも知れない遺言を一度は燃やしてしまおうと思いましたが「自分の人生がこれ以上不幸になるはずはない」と考え直して開封します

主人公に渡った遺言の内容は、父が男としても作家としても最盛期だった頃、娘ほど歳の離れた流石井富貴子さすがい・ふきこという一流クラブのホステスに夢中になった時のエピソード一部始終が綴られた物
「彼女が妊娠して、出産を望んだ時に一番言ってはいけない自分のかどうかわからないと疑いを口にしてしまったしばらく後、店からも東京からも失踪した彼女が女手一つで育てたと思われる名前と年頃の青年が事故で死んだらしいという新聞記事を読んで以来、一人きり残されているはずの彼女の安否あんぴがずっと気になっているでも、もう自分で探し出す力は残っていないのでこの遺言を引いた人は彼女を探し出して、残りわずかな金額でも印税が彼女の物になるように手続きをして欲しい」という父の色ざんげ
厄介ごとにかかわらない方がいいと言う兄弟達の制止を振り切って“自分には、これ以上失う物がある訳じゃないし”と航空会社で事故で亡くなった異母弟と思われる青年・健一の情報を探し出した彼が小さな地方都市で小料理屋の女将おかみになっている、父が探せなかった流石井富貴子さすがい・ふきこを捜し当ててさぐりを入れると「あなたは私の息子にそっくりだから、すぐにわかった」と指摘した彼女は、父と別れた理由がの出生を疑われたことで一気に気持ちが冷めてしまったからだということと、今までいろいろな男性とつきあいながら生きては来たけれど皆自分と離れて別の場所で幸せになっていること死んだ息子・健一はそんな環境でも屈折もせずに成長して、若かったとはいえボランティアでを飛び回るような人生を全うして事故で死んだ後も莫大な金額の保険金や賠償金を残してくれたので、自分が今生きて行く上で精神的にも経済的にもなかなり救いになっていると語ります

彼の立場がエリートの兄弟達と違って、子供もいないバツイチで財産もしがらみもないと説明すると「タイプなので」気に入られたい積極的な彼女

“父親に子供が自分の子かどうかわからないと疑われて、黙って去って行った女手一つで育てた一人息子に先立たれた”からと彼女の印象に薄暗い先入観をいだいていた主人公
しかし実際の彼女は芯の強い、ポジティブ思考の明るい女性
さっそく遺言通り印税が彼女の手元に行くよう手続きをしたと法事の席で報告をしますが、幸運を引き当てたはずの他の兄弟達の遺産は以外な経過を迎えていました

長男の相続した株券は、繊維・鉄鋼・と今では時代遅れで買った当時の半値にもならない物ばかり
次男のの隣室は、暴力団事務所弁護士という仕事上も、余計に招かれざるお隣さん
末っ子が住み始めた、父が住んでいたは夜になるとやたらと奇妙な音がするとのこと
“幸運をつかんだ”と思った兄弟達が、案外そうではないことが判明します
やがて、他の兄弟達の遺産には急転直下運命

長男の株券の中で唯一だった会社の株は、不祥事の発覚で暴落
次男のマンションは、隣室の暴力団と敵対関係の暴力団が血なまぐさい騒動を起こして、手離すこともできないまま立地条件のよさが裏目に出て維持費の出費ばかり
末っ子の相続したは、地盤沈下の避難勧告での開業どころか住むこともできなくなります
兄弟達の相続した遺産“不良債権になって行く中、勤め先のデザイン会社が倒産して不幸に追い討ちがかかったように見えた主人公は流石井富貴子さすがい・ふきこの手元に印税が行くよう管理する立場になったことで、突然多忙になります

父親の昔の作品がドラマ化され、ドラマのヒットで装丁を変えて再出版された父の本は店頭平積みのベストセラーに
彼とは大人の関係から、メル友になっていた流石井富貴子さすがい・ふきこ莫大ばくだい印税を受け取ることになります

思い返せば、父親が一番売れっ子作家だったのも流石井富貴子さすがい・ふきこと交際していた頃
その後付き合っていた彼女の恋人達も、別れた後逆玉ぎゃくたまに乗ったり、事業で成功したりと幸運に恵まれた人達ばかり

流石井富貴子さすがい・ふきこは一人では幸せになれないけれど、つき合った相手と一緒に幸せになる・または別れた後の彼らが別の場所で幸せになる…いわゆる「あげまん」だったようです

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塞翁が馬さいおうがうま”のような兄弟達と自分の運命を思いながら「父の作品には、いつもが転がって行くようなどんでん返しがあった」としみじみ思う主人公
父が仕掛けた“相続ゲーム”のファイナルステージは彼女と自分・どっちが先に死に水を取るかでゲームオーバーという心境の幕引きになります

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